「あの法律事務所はどんな事務所?」意外と知らない「働く場」としての法律事務所を、編集部があなたに代わって取材します。編集が見たオフィスのこだわりや工夫もご紹介。
長島・大野・常松法律事務所は、2000 年の合併によって国内初の弁護士100 人態勢を実現した、四大法律事務所の一角だ。統合の陣頭指揮は、事務所代表の原壽氏が執った。
「四大事務所がそれぞれスケールアップしたことで、業界のマーケットは様変わりした。60年代半ばから海外企業との折衝で弁護士を活用する企業はあったが、近年は国内ビジネスでも法律事務所が介在するケースが急増。弁護士数だけでなく、あらゆる分野での専門化が迫られた。そもそも顧客ニーズのないところにビジネスは生じない。要望に対応し続けるうち、結果的に今の規模になったというのが正しい」(原氏)
つまり自発的なマーケティング戦略だけが大型化の理由ではないということだ。
同事務所が紀尾井町のビルに移転したのは93年。拠点の選定にも「意図」はあった。情報通信インフラが敷きやすく、フロアを自在的かつ機能的に区切ることができるスペースを所員のために提供することが、拠点選定の優先項目だった。
「最近のオフィスビルはワンフロアが広すぎる。それぞれの弁護士に独立スペースを確保しながら、周囲との連携も密に取らねばならない法律事務所では、移動距離が長くなることで情報伝達速度が落ちることは、何かと問題が多い」(原氏)現在のオフィスの総面積は1万2900 ㎡、ビルの10フロア強を使用する。執務室フロアには秘書が詰め、それを弁護士の執務室がぐるりと囲む。広いフロアを弁護士とスタッフが緊密に行き来できるよう機能的に区切った。総勢600 人近くの所員が属する、このオフィスの「働く環境」は、どう整備されてきたのだろうか。
「弁護士のすぐ近くにセクレタリーや専門職のスペースを配置し、声をかけたら即応できるレイアウトであることはもちろん、情報通信システムへの万全な対応もオフィス作りでは重要な要素。システム構築のおかげで、弁護士は世界中どこからでもPC さえあれば、自分のオフィスと同じ情報環境を再現できる。弁護士とスタッフが協力しやすくなっただけでなく、依頼者のニーズに素早く対応できるようになった」(原氏)
華美なオフィスは必要ない。しかし、あらゆる角度から見た機能性の保持、あるいは少し息がつけるスペース(図書室参照)の確保などは、働く所員のモチベーションをも高める重要な要素となる。
