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綿密な計画と戦略で広めた総会対策—久保利方式

 トレードマークにもなっている派手なスーツやネクタイは、実はかなり若い頃からの趣味だった。「もともと赤とか緑とかいったカラフルな色が好きでね。存在感があるでしょう。総会屋を相手にするとなると、こっちも気合いを入れてかからなくてはならないし(笑)」
 この人物こそ、株主総会における一括上程・一括審議なる「久保利方式」で知られる久保利英明氏である。従来の「しゃんしゃん総会」と一線を画した画期的な方法で、企業と癒着する総会屋を次々に排除していく彼の働きは、企業法務のトップ弁護士としてその名を世に知らしめるきっかけともなった。
 「初めからうまくいったわけじゃありませんよ。総会屋と決別したいという企業の株主総会の司令塔として、スムーズな議事進行が図れるように対策を企てたものの、4時間以上も総会屋に粘られたことがありました。総会担当者はただ1日の株主総会に
向け、総会屋対策に奔走しながら次の1年間を準備に費やしていました。こうした神経をすり減らした担当者の姿を見て、決意したんです。本来あるべき姿に戻そうってね」
 総会屋の人口は8000人以上といわれていた時代。1982年に改正商法が施行されると、生き残りをかけた総会屋の活動も活発になり、84年のソニー株主総会では13時間半というマラソン総会が他の企業経営者を震撼させた。「企業には総会対策が必要だ、弁護士がサポートしないと経営の健全化は果たせない、なんて言う弁護士は、それまで一人もいませんでした。でも、僕が裏方として議事進行を支えるだけで、それまでビクビクしていた企業が元気を取り戻してくれた。総会対策・運営指導という仕事は、弁護士の新たな活動領域になると確信したんです」
 今でこそ「久保利方式」といえば知らぬ者はいない総会運営手法だが、その陰には久保利氏ならではの戦略があった。日本を代表する企業でその有効性を示せば、新手法を取り入れる企業は一気に増えるだろう。そう考えた久保利氏は、民営化されたばかりのNTTへ事務所を挙げて営業をかけ、新手法で巨大総会の運営に取り組んだ。この成功が呼び水となり、JR東日本やソニーといった大手企業からの依頼が相次いだ。それにならった全国の上場企業も次々と久保利方式での総会運営を取り入れていったのである。 ...(以下略)
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プロフィール

久保利英明 くぼり・ひであき
日比谷パーク法律事務所
代表弁護士
第二東京弁護士会(1971 年登録、23 期)
1968年 東京大学法学部卒業
1971年 弁護士登録(第二東京弁護士会)
1971年 森綜合法律事務所入所
1989年 第二東京弁護士会副会長
1998年 日比谷パーク法律事務所 開設
2001年 第二東京弁護士会会長・日本弁護士連合会副会長
2004年 大宮法科大学院大学教授就任

金融庁総務企画局参事(法令等遵守調査室顧問)、知的財産戦略本部 コンテンツ・日本ブランド専門調査会会長、NPO 法人エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク理事長、弁護士知財ネット理事、日本コーポレートガバナンスフォーラム理事、有限責任中間法人日本取締役協会幹事、NPO 法人全国社外取締役ネットワーク理事、東京商工会議所経済法規委員会副委員長、野村ホールディングス株式会社取締役、ソースネクスト株式会社監査役、日本銀行 コンプライアンス会議メンバー、学校法人東京女学館理事、学校法人開成学園理事、厚生労働省「標準報酬遡及訂正事案等に関する調査委員会」委員などを現任。
そのほか、「外部から不二家を変える」改革委員会委員長代理、ニッポン放送社外取締役、 あおぞら銀行監査役、知的財産戦略本部員、日本放送協会「職員の株取引問題に関する第三者委員会」委員長、 野村證券株式会社「特別調査委員会」副委員長などを歴任。
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