「あの法律事務所はどんな事務所?」意外と知らない「働く場」としての法律事務所を、編集部があなたに代わって取材します。編集が見たオフィスのこだわりや工夫もご紹介。
日米両国法制度の幅広い知見に基づいた高度な渉外法務サービスの提供を目標に、2007年に設立されたフリーマン国際法律事務所。代表であるダグラス・K・フリーマン弁護士(48期)は幼いころからバイリンガル教育を受け、「日本と米国のかけ橋となるような仕事」をするのが夢だったという。フリーマン弁護士のボーダーレスな人生の軌跡は同事務所の特徴を色濃く物語っている。
大学卒業後は外資系証券会社に就職するも、より論理的、分析的な仕事に興味を持ち、インベストメントバンカーからリーガルポジションに異動。これが契機となって弁護士を目指し、1994年に米国人として初めて日本の司法試験に合格。国内の法律事務所勤務を経て、米国コロンビア大学ロースクールにて法学博士(J.D.)を取得し、卒業後はニューヨークのサリヴァン・アンド・クロムウェル法律事務所にてM&Aや証券の発行など大規模案件を担当した。
「実りの多い仕事でしたが、組織の中にいるとどうしてもアメリカンロイヤーの素養をベースにした仕事が中心になってしまいます。日米両方に通じる自分の経験をフルに生かしたいと思い独立を決意しました」。日本を起業場所に選んだのは、「日本の弁護士でありながら米国での経験や資格を持っている方が希少性も、提供できるものの価値も高いと感じたから」と語る。
現在扱うのは99%が渉外法務。小規模ながらも高度なリーガルサービスを提供し、依頼者のニーズに柔軟に対応できる小回りの良さは同事務所の大きな強みとなっている。依頼者の国籍は7割が日本。日本の法律事務所からの紹介が多く、そのほか米国企業からの依頼や、米国、イスラエル等のパートナー事務所と共同で進めている案件もあるという。
「典型的なのは海外のジョイント・ベンチャーや米国ファッション関連企業への投資案件などM&Aの仕事です。それ以外では国際ライセンス契約や販売代理店契約。両国の文化や商習慣をしっかりとふまえて交渉を進めるのが当事務所の特徴だと思います」
海外の法律事務所と一緒に仕事をする機会が多い同事務所では、専門性やコスト、規模も含めて、そのプロジェクトに最適な法律事務所を発掘し連携を取りながら進めている。最近では世界的に活動している米国公益法人から日本法人を設立したいという依頼があり、大学の先輩である公益法人制度の専門家とチームを組んで案件にあたった。
「自分にしかできない仕事に最もやりがいを感じる」というフリーマン弁護士。「この仕事の面白さは自分のバックグラウンドや人間関係、人生経験が役立つこと。規模の大小に関係なく、今まで生きてきた軌跡が仕事に生かされるときが一番楽しいです」
2月にはICC(国際刑事裁判所)の仲裁人としてニューヨークへ向かう。日米企業間の紛争仲裁にあたるためだ。「仲裁人に選ばれるのは通常はもっとご年配の先生なんですが、日米の法律を熟知していたことが評価され抜てきされました。自分としてはまさにこんな仕事がしたいと思うような国際的な案件です」と目を輝かせて語ってくれた。