「あの法律事務所はどんな事務所?」意外と知らない「働く場」としての法律事務所を、編集部があなたに代わって取材します。編集が見たオフィスのこだわりや工夫もご紹介。
国内の金融法務の老舗・片岡総合法律事務所。同事務所は、ストラクチャードファイナンスにおいて証券化・流動化取引が日本に導入された黎明期からのパイオニアでもある。片岡義広弁護士に事務所の特徴を聞いた。
「研究熱心で企業法務や訴訟に強く、特に金融法務分野では多くの弁護士が高度な専門性を有し、各方面から高い評価をいただいています。省庁等の各種研究会のメンバーになる弁護士も多くいます。〝スペシャリストであり、ジェネラリストでもある〞が、私たちの理想です」
所長弁護士の片岡氏自身が、そのモットーの体現者である。金融等の企業法務のほか、民事・刑事・家事・労働・行政・税務・倒産・知財等の訴訟や各種立法対応も手がけ、司法研修所教官も経験して、複数の法科大学院の教授であるなどマルチプレーヤーとして活躍してきたからだ。氏は「これほど広い領域を担当してきた弁護士は、そういないと思います」と笑う。
数々の功績のみならず、片岡氏の人柄にひかれて集まる弁護士も多い。持って生まれた性格と氏自身が認める、常に「和顔愛語(わげんあいご)」で他者に接する人だからか。二児の母でもあるパートナーの小林彩子弁護士は、所内の雰囲気をこう語る。
「真の意味でアットホーム。片岡が〝所員の家族も含めて〞大事に考えてくれるからでしょう。例えば、子育て中の弁護士が子供を連れてきて仕事をすることが許される。また、ITインフラが堅牢なので、専用回線を使い、自宅での作業も可能になっています。そのおかげで安心して仕事と家庭を両立できている所員も少なくありません。まさにワークライフバランスが尊重されています」
そうしたサポート体制は、片岡氏が小林明彦弁護士と当事務所創設以来の確固たる明文化された理念に基づく。
「人には〝各自内在する責任〞があります。自分が生きる責任、配偶者や子への責任、社会から期待される責任。また、所員として、顧客に期待いただく責任。そのバランスを大事にします」
このうち「顧客に期待いただく責任」実現のため、用意された制度がある。一つは責任パートナー制だ。不動産や債権の仕組み金融、銀行法、金商法、貸金、クレジット、電子マネー等の専門分野で、それぞれ緩やかなチームを組む。パートナーと中堅と若手の3名体制を基本として、案件の規模と内容によりフレキシブルなメンバーで組織的に対応する。これにより、顧客に知識と経験と遂行力をリーズナブルな価格で提供できる。
もう一つは週1回の弁護士会議。これは24年前から欠かさず続けているもの。取材当日、議論されていたテーマは、「金融機関の利益相反」が問題となる事例等だった。「ナレッジマネジメントにも意を用いている」と、
片岡氏。「今日は、民法、会社法、金商法、銀行法、レピュテーション等と、複眼的に問題を論じました。チームごとの責任パートナーが『今抱えているこの問題を会議に出そう』とリード。アソシエイト主体で問題提起を
行い、弁護士全員で法的論点の議論等を行います。純然たる法律論を毎週全員で議論しているというのは稀有ではないでしょうか。法的思考法、発想法、分析手法の力を高め、角度の高い議論を行って結論を導き出す。その繰り返しの訓練で若手のスキルアップと情報の共有化を図
っています」。