「あの法律事務所はどんな事務所?」意外と知らない「働く場」としての法律事務所を、編集部があなたに代わって取材します。編集が見たオフィスのこだわりや工夫もご紹介。
フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー(以下フレッシュフィールズ)は、世界15カ国27都市に2500人以上の弁護士のグローバル・ネットワークを有する。M&Aに強みを持ち、全世界での扱い高はトップクラスだ。東京オフィスでも取り扱い案件の半数を占め、外資系企業による日本企業を対象としたM&Aだけでなく、多くの日本企業の戦略的な海外進出もサポートしている。紛争・労働案件も柱の一つで、岡田和樹弁護士のような紛争・労働案件のスペシャリストが所属するのも強みだ。
また、同オフィスでは独占禁止法(以下独禁法)分野が顕著に伸びている。日本企業が国際的なカルテルに関与したとして摘発、調査される案件が増加する昨今において、国際カルテルならフレッシュフィールズといわれるほど認知度は高い。同事務所がこうした世界規模の案件に力を発揮できるのはなぜか。「世界中にあるオフィスが『ワンファーム』としてチームを組み対応に当たっています。ダイムラーとルノー・日産アライアンスとの資本提携を担当した際は、クライアントのダイムラーのために東京・パリ・フランクフルトオフィスで一つのチームを組みました。各国で異なる法律事務所を使うと意思疎通に障害が生じやすいですが、そうした問題が私たちでは発生しません」と中尾雄史弁護士は語る。また、データベースでナレッジを共有するなど、各国でインフラ面での共通化が図られている。「オフィスごとの独立採算制ではないこともファーム全体として成果を上げていこうとする意識の一因」と岡田弁護士。各国の弁護士とスムーズに連携できるのが同事務所の最大の特徴だといえるだろう。
そうしたフレッシュフィールズとしての文化の意識付けは、世界各国から一堂に集まって同じ新人研修を受けるなど入所1年目から実践されている。エドワード・コール外国法事務弁護士は、「世界中にオフィスがあるからグローバルな案件を取り扱えるというわけではない。同じ環境で育ち、同じ考えをベースに仕事ができるという信頼関係があり、互いにナレッジを気軽に提供し合える個人レベルでのグローバル化が進んでいるからこそです」と語る。
「東京オフィスでは、日本法に精通していることが先決ですから、日本法を扱う日本人弁護士の教育には注力しています。入所1~2年目は日本法の先輩弁護士と同室で、初歩的なことから先輩に相談、その仕事ぶりを間近で学び、3~4年目までに全分野を経験することで実務力を磨くのです。また留学を見据えて外国人弁護士と同室にし、ビジネス英語を徹底指導することで将来的にグローバルに活躍できるだけの英語力が身に付けられるよう配慮しています」と中尾弁護士。また、コール外国法事務弁護士も「パートナーが一流の仕事をし、それを見て自分もそうなりたいと若手が思える雰囲気を作っていくことが大切」と言う。岡田弁護士は理想とする人材像について「共にファームの発展に貢献できるチームスピリッツがある人に入ってきてほしい」と語ってくれた。