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経営そのものに深くかかわる企業法務部。現場からの相談に瞬時にかつ的確に判断することが求められる組織に必要なファクターとは、その精鋭が弁護士に期待することとは何か?法務のマネジメントへ伺いました。


玩具業界ならではの法務の役割

 トミカ、プラレール、ポケモン、リカちゃん……自身や子供が、この会社の製品のお世話になった経験がない日本人は、恐らくいないのではないか。
「例えばライセンスを取得して製品をつくる時、文房具のような〝2次元〞のものだったら、他社に対する権利侵害が発生する余地はほとんどないでしょう。でも、いろんな機能を付加した〝3次元〞のおもちゃの場合には、想像しない問題が起きる可能性が、けっこう高い。だから、われわれが企画段階から調査に入り、〝危い〞商品は担当者や弁護士と回避策を練りつつ、市場に送り出す必要があります」
 石立孝裕法務部部長は、玩具メーカー法務部ならではの業務の一端を、そう語る。
 今話に出たのは、知的財産課の仕事。同社法務部には、そのほかコーポレート関係の法務に携わる法務課と、ライセンス管理課があり、総勢24名が勤務している。平均年齢33歳の、伸び盛りの集団だ。「知財関連を中心に、仕事の専門性が極めて高い」ことから、部内でのジョブローテーションは行っていない。
「ただ、営業などの現場を知ることには大きな意味があります。私自身、かつて海外営業を3年ほど経験させてもらい、大変勉強になりました。部員に定期的に事業部を経験させたり、グループの関連会社に出向してもらったりという制度を、早急に具体化したいと考えています」

海外戦略を加速する経営をサポート

 2006年にトミーとタカラが合併し、新たな歩みを始めた同社。システム、フォーマット、データベースの管理など、あらゆる面で「違う」ところからのスタートだったが、「一番困ったのは、仕事のやり方」だった。
「急に融合させようとしても現場が混乱するだけだと考え、1年目は旧タカラの商品には旧タカラの法務部員を担当させ、2年目から旧トミーの法務部員を同席させたり、意図的にクロスさせた。そうやって3年たった頃には、垣根を感じることなく仕事ができるようになりました。ポイントは、〝相手〞の商品を担当した時に見くびられないよう(笑)、全員がよりファイトを燃やしてくれたこと」
 合併後、安定的に業績を伸ばしてきた同社は、11年3月、米国の玩具メーカー「RC2」を買収した。少子化の影響で国内玩具市場がシュリンクする中、世界最大の玩具市場である米国を軸に、本格的なグローバル展開を加速させる意味合いを持った決断だ。
「経営がアクセルを踏んでいるわけですから、法務部も、全力でそれをフォローしなければならない。北米、欧州に関しては、体制をいったん白紙に戻し、スピード感を持ってカバーできる方法を、早急に固めるつもりです」
 世界に打って出るための人材育成も急務だ。知的財産課の浅井亮八担当課長は、「異業種でも知財関連の人間が集まる会議などには、積極的に顔を出す。すでにグローバル企業として活躍している企業の知財管理の話は、本で読むのとは違い実務が見えるので、非常に参考になりますね」と話す。

「〝メールベース〞の仕事はするな!」

 石立氏が旧トミーに中途入社したのは00年。当時の法務部の仕事は、もらった依頼書に従って粛々と、というスタイルだった。「同じ案件に取り組むのでも、情報の多寡でアウトカムに差が出る」と確信していた石立氏は、当初から「外に出て、事業部の人間に直接会って話そう。〝メールベース〞の仕事はしないこと」と言い続けてきた。
「自分がどういう人たちと仕事をしているのか知らないのでは、いいアドバイスもできない。われわれがやっているのはエンタメですから、お客さまを楽しませようと、事業部は時々無茶もする。そういう気持ちも汲みながら、言うべきことは言うというのが、この会社の法務のあるべき姿だと思うのです」
 そんな「教育」の甲斐あって、今では「〝癒着〞しすぎじゃないか」というほどに、現場との関係性は強まったそうだ。
 最後に、同社の法務部員に望む姿勢について聞いてみた。
「法律の知識や、それを実行する感性は当然の資質。加えて、グローバル化の加速という社の方針を考えるなら、語学力は必須です。でも、それ以上にコミュニケーション能力がないと、当社ではつらいでしょうね。メールで済まそうと思っても、いつの間にか担当者が隣に立っていたりしますから(笑)」

企業概要

株式会社タカラトミー
設立 : 1953年1月
代表者 : 代表取締役社長 富山幹太郎
資本金 : 34億5953万円
従業員数 : 650名(2011年9月末現在)
本社所在地 : 東京都葛飾区立石7-9-10

プロフィール

石立孝裕 (いしだて・たかひろ)
株式会社タカラトミー 連結管理本部 法務部 部長
1994年 University of Liverpool 卒業, LL.B (Hons)
1995年 Collage of Law, Chester(LPC)卒業, Postgraduate Diploma in Legal Practice
1995年 ザ・ヒューマン株式会社(現ヒューマンホールディングス株式会社)入社 国際部 国際法務担当
1996年 株式会社ニフコ入社 海外企画部 国際法務担当
2000年 株式会社トミー(現株式会社タカラトミー入社)法務部 法務課長
2008年 株式会社タカラトミー 海外事業本部 営業課長
2010年 株式会社タカラトミー 法務部長
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